Vagues 波紋
すがたかたち のデザインスタジオは海から遠いが、私たちは車で1時間も走れば日本一標高の高い場所にある湖、中禅寺湖に行くことができる。それは日光国立公園内にある。私たちは、樹皮の美しいミズナラに囲まれたこの湖に一年を通してしばしばピクニックに行く。湖面を吹き渡る風やボートがつくり出す波紋を見ていると飽きるということがない。子供たちが競い合って興じる石切stone skippingは、湖面に同心円状の波紋を幾段も作りだす。
Vaguesシリーズは、誰もが持つであろうこうした自然体験を形象化したドアハンドルだ。都会の現代的な室内空間においても樹、水、風と言った自然を感じさせることができる。プレートに刻まれた波紋のパターンは、光のあたり具合と見る角度により様々に表情を移ろわせる視覚効果を持つ。木とアルミ削り出しの2タイプがある。木製は、波紋と木目との重なりが揺らぎを生み出す。アルミ製は、波紋と刃物の削り出し跡が空間の色を反映し、光を複雑に反射する。いずれも1つずつ削り出されたアートピースのような製品だ。
すがたかたちの新たなコレクションの始まりである。